60代からのNISAの始め方|相談を受けて、私が最初に伝えたこと

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この記事でわかること

  • ✔ 証券口座を開くのは、投資を始めることではないということ
  • ✔ 60代から始めても遅くない理由
  • ✔ 毎月いくらで、何年後にいくらになるかの早見表
  • ✔ 始める前に、お伝えしたい3つのこと
  • ✔ 金額より先に決まっていてほしい、暮らしの見通しのこと
  • ✔ 「今のお金を、今使う」という選択肢もあるということ

目次

  1. 証券口座を開くことは、投資を始めることではありません
  2. 「60代からでは、もう遅い」と思っていませんか
  3. 実際、いくらになるのか(早見表)
  4. でも、増えるとはかぎりません
  5. 始める前に、私から3つだけお願いがあります
  6. ここまで来たら、あとは始めるだけです(手順)
  7. 家計の見通しが先、積立額はそのあと
  8. まとめ

こんにちは、HANAです。

この記事を書くきっかけは、60代女性からの相談でした。

子育てを終え、今は孫もいます。

それでも現役で働きながら、

「将来のために、今から何か始めたほうがいいのかな。」

そう聞かれたんです。

話しているうちに、こんな言葉が出てきました。

銀行で勧められて、セミナーにも行ってみた。パンフレットももらった。
それなのに、結局なんなのか、さっぱりわからない。

この言葉に、私はとても心当たりがありました。

私も同じでした。投資という言葉を聞くだけで身構えてしまって、説明を聞いても頭に入ってきませんでした。

学校でお金のことなんて教わってこなかったんだから、分からなくて当たり前だったんですよね。

だからまずは、口座を開くこと自体はとても簡単だということ、私がどこの証券会社で始めたのかを、そのままお話ししました。

でも、話しているうちに、私が伝えたいことのほうが変わっていきました。

きっかけは、彼女のこの言葉でした。

毎月ギリギリの生活だけど、3,000円くらいから始めても、意味あるかな。

そのとき私は、すぐに「始めましょう」とは言えませんでした。

決められないのは、NISAが分からないからではないと思ったからです。「うちのお金は、この先どうなるのか」が見えていない。だから、やるかやらないかも、いくらにするかも決まらない。

順番があるとしたら、制度を理解するより先に、今の暮らしと、この先の見通しです。そこが決まると、金額のほうは自然に決まります。

だからこの記事は、専門用語を覚えていただくためのものではありません。

知らない言葉は使いません。順番に読んでいただければ、最後には「自分はやるのか、やらないのか」を決められるところまで行けるはずです。

証券口座を開くことは、投資を始めることではありません

まず最初に、これだけお伝えしたいことがあります。

私がいちばん怖かったのは、実は「口座を開く」ことでした。

「口座を作ったら、もう後戻りできないんじゃないか。」

「すぐに何か買わなければいけないんじゃないか。」

そんな気持ちがあって、なかなか一歩を踏み出せませんでした。

でも、実際は違いました。

証券口座を開くのは、「今日から投資を始めます」という決断ではなく、いつでも始められるように準備をしておくことでした。

それが分かって、私はようやく最初の一歩を踏み出せました。

私も最初は、

「NISAって何を買えばいいんだろう。」

と思っていました。

でも、NISAは買うものではないんです。

NISAは商品の名前ではなく、お金を入れておく場所の名前でした。空っぽの箱のようなもの、と考えると分かりやすいと思います。

「場所って言われても、何が違うの?」って思いますよね。

投資でお金が増えると、ふつうは増えた分に約20%の税金がかかります。10万円増えても、手もとに残るのは約8万円。2万円は税金として引かれます。

でも、NISAの中で増えた分には、その税金がかかりません。

同じものを買っても、
ふつうの口座で買う → 増えた分から約20%引かれる
NISAの中で買う → 引かれない

だから、口座を開くというのは、この「税金のかからない場所」を用意しておくだけのことなんです。

中身は、しばらく空っぽのままでもかまいません。

何を買うかは、そのあとゆっくり考えれば大丈夫です。

まずは、いつでも始められる状態を作る。それだけで十分です。

「60代からでは、もう遅い」と思っていませんか

「今さら始めても、もう遅いでしょう。」

これ、本当によく聞く言葉です。私も40代のとき、同じことを思っていました。

でも、調べてみて拍子抜けしたんです。

NISAに年齢の上限はありませんでした。18歳以上であれば、60代でも70代でも開けます。

もうひとつ、私がほっとしたことがあります。

NISAのお金は、いつでも売って現金にできます。

入院することになった、家の修繕が必要になった。そういうときに引き出せない、という心配はしなくて大丈夫です。置いておくだけで、縛られるわけではないんです。

それに、60代からの時間って、思っているより長いんですよね。

この先20年、30年という時間がある方は、本当に少なくありません。このあと出てくる15年・20年という数字も、遠い話ではないんです。

私も40代で始めたとき、「もっと早く知っていたら」と何度も思いました。

でも、その頃の私は、その頃の私なりに精一杯だったんですよね。

だから今は、「始めよう」と思えた今日が、一番いいタイミングだったんだと思っています。

実際、いくらになるのか

ここまで読むと、いちばん気になるのは「実際、いくらになるの?」ですよね。

毎月コツコツ積み立てた場合の目安を、表にしました。「元本」は自分で入れたお金、「合計」は増えた分を足した金額です。単位は万円です。

年3%で増えたと考えた場合

毎月の額10年後15年後20年後
1万円140
(+20)
227
(+47)
328
(+88)
3万円419
(+59)
681
(+141)
985
(+265)
5万円699
(+99)
1,135
(+235)
1,642
(+442)

年5%で増えたと考えた場合

毎月の額10年後15年後20年後
1万円155
(+35)
267
(+87)
411
(+171)
3万円466
(+106)
802
(+262)
1,233
(+513)
5万円776
(+176)
1,336
(+436)
2,055
(+855)

単位は万円。毎月末に積み立て、利息にも利息がつく(複利)として計算。カッコ内は増えた分です。手数料・税金は考慮していません。この表は決まった利回りで計算した目安であり、将来の成果を約束するものではありません。

この表で、ひとつだけ見てほしいところがあります。

毎月3万円・年3%の場合、10年で増えるのは59万円。ところが20年だと265万円です。

年数が2倍になっただけなのに、増えた金額は4倍以上になっています。

これが、「時間が味方をしてくれる」と言われる理由です。

なお、NISAに入れられる金額には上限があります。1年あたり最大360万円、生涯で1,800万円まで。表の中では、毎月5万円を25年続けると1,500万円なので、この範囲におさまります。ふつうの積み立てで使い切ることは、まずありません。

ただし、この表では決まらないことがあります

こういう表を見ると「じゃあ毎月3万円にしよう」と決めたくなりますよね。

でもこの表は、あなたの家計をひとつも知りません。

この表が答えてくれないのは、たとえばこういうことです。

  • うちは毎月3万円を、本当に出し続けられるのか
  • その20年の間に来る車の買い替え・家の修繕・介護のお金を入れても、大丈夫なのか
  • 年金と合わせて、生活費は足りるのか。足りないなら、いつから取り崩すのか

金額のほうを先に決めると、たいてい途中で苦しくなります。この話は、記事の最後にもう一度出てきます。

でも、増えるとはかぎりません

ここを飛ばして始めてほしくないので、はっきり書きます。

NISAは元本保証ではありません。買ったものが値下がりすれば、入れたお金より減ります。上の表は「毎年きまった割合で増えたら」という仮の計算であって、実際の値動きは上がったり下がったりします。

私も、始めてから何度も「先月より減っている」画面を見ました。

最初は正直、不安になりました。金額が大きくなるほど、下がった月の見た目のインパクトも大きくなります。

でも、実際につらかったのは、値下がりそのものではありませんでした。

家計に余裕がない時期に、毎日のようにアプリを開いてしまったことです。

昨日より減っている。今日も減っている。

確認するたびに不安が大きくなって、「やっぱりやめたほうがいいのかな」と気持ちが揺れました。

でも、そのたびに「これは、すぐ使うお金じゃない。」と思い出していました。使う予定のあるお金を入れていたら、あの下落には耐えられなかったと思います。

実際に私は、あるとき積立額を減らす判断をしています。その話はこちらに書きました。
短期のお金は投資しない|NISAを減額して気づいたこと

始める前に、私から3つだけお願いがあります

ここまで読んで、「私も始めてみようかな」と思ってくださった方へ。

その前に、3つだけお伝えしたいことがあります。

どれも特別なことではありません。

でも、この3つを知っているだけで、大きな失敗はぐっと減らせると思っています。

1. 3〜5年以内に使うお金は、入れない
入院費、家の修繕、車の買い替え、お子さんやお孫さんへの援助。使う時期が決まっているお金は、投資に回さず現金のままにしてください。値下がりしている時期に売らざるをえない——これがいちばんつらいパターンです。

2. 生活費の半年〜1年分は、現金で残す
手もとに余裕があるから、値下がりしても「いま売らなくていい」と思えます。この余裕そのものが、いちばんよく効く安全装置です。私が休職して収入が止まったとき、これに助けられました。

3. まとめて入れず、毎月に分ける
退職金などをまとめて入れると、その日の値段で結果が決まってしまいます。毎月コツコツなら、高い月も安い月も買うことになり、値段がならされます。焦らず、毎月コツコツ続けることが、結果的にリスクを減らしてくれます。

それから、これも正直にお伝えしておきますね。NISAの中で出た損は、ほかの利益と相殺して税金を減らす、ということができません。

だから、いいところも、気をつけたいところも、どちらも知った上で始めてほしいと思っています。

ここまで来たら、あとは始めるだけです

ここまで読んで、「やってみようかな」と思った方へ。

やることは、実はそんなに多くありません。

先に手もとに用意しておくものは2つ。マイナンバーカード(または通知カードと運転免許証)と、ふだん使っている銀行の口座番号です。

  1. 証券会社に口座を申し込む……申し込みの途中で「NISA口座も開設する」を選べます。ここで一緒に申し込むのがいちばん簡単です。スマホで15分ほど
  2. 本人確認書類を撮影して送る……郵送は不要で、画面の案内どおりに撮るだけです
  3. NISA口座が使えるようになるのを待つ……申し込みのあとは、証券会社が必要な手続きを進めてくれます。1〜2週間待てば大丈夫。こちらで特別にすることはありません
  4. 毎月の積立を設定する……金額と買うものを登録すれば、あとは自動です

手を動かすのは、実質1と4だけ。合わせても1時間かかりません。

私も、思っていたよりずっと簡単でした。

ちなみに、私が使っているのは楽天証券です。理由は特別なものではなくて、楽天銀行と連携させておくと、証券口座への入金という作業そのものがなくなるから。「マネーブリッジ」という無料の設定です。

毎月の入金を自分でやらなくていいのは、続けるうえで思っていたより大きな差でした。口座の開設も維持も無料です。

「今日ぜんぶ決めよう」としなくて大丈夫です。
何を買うかは、そのあとゆっくり考えれば間に合います。
焦らなくて大丈夫。👇

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※ 投資はご自身の判断で行ってください。体験談をもとに書いており、特定の商品を推奨するものではありません。

楽天証券を選んだ理由や、実際に4年続けてどうだったかは、こちらに詳しく書いています。
楽天証券でNISAを始めた理由|シングルマザーが4年続けてよかったこと

家計の見通しが先、積立額はそのあと

ここまで読んでも、まだ迷っている方がいるかもしれません。

それはたぶん、NISAが理解できないからではなく、「うちのお金は、そもそも大丈夫なのか」が見えていないからだと思います。

毎月いくらなら回せるのか。この先どんな大きな支出が待っているのか。そこが見えないまま金額を決めようとすると、いつまでも決まりません。

「3,000円くらいで始めても意味ある?」と聞かれて

冒頭でご紹介した、彼女のこの言葉です。

毎月ギリギリの生活だけど、3,000円くらいから始めても、意味あるかな。

そのとき私が伝えたのは、金額の話ではありませんでした。

3,000円でも意味はあります。でもそれ以上に大事なのは、生活費を削ってまで投資しないことだと思っています。

無理をして積立額を上げると、いざお金が必要になったときに、いちばん下がっているタイミングで売ることになりかねません。それでは、何のために始めたのか分からなくなってしまいます。

だから、決めるべきは「いくらから始めるか」ではありません。

「いくらまでなら、なくても困らないか」

そうお伝えしました。

3,000円がその答えなら、3,000円でいいんです。少なすぎて恥ずかしい金額なんて、ありません。

60代のお金は、80代のお金と同じではありません

そしてもうひとつ、そのときお伝えしたことがあります。

同じ100万円でも、今の100万円と、20年後の100万円では、できることが違います。

行きたい国があるなら、体が動くうちに行ったほうがいい。学びたいことがあるなら、今のほうが吸収できる。おいしいものを食べに行くのも、家族と思い出をつくるのも、そのときにしかできないことがあります。

80歳で海外旅行に行くのは、正直、簡単ではないと思うのです。

もちろん、100歳まで元気な方もいらっしゃいます。でも、それは誰にも分かりません。

だから私は、今の楽しみを我慢してまでNISAに回す必要はないと思っています。増やすことが目的になって、使うタイミングのほうを逃してしまったら、何のためのお金だったのか分からなくなってしまうので。

順番としては、今使いたいことに使って、それでも残るぶんを回す。それで十分だと思います。投資をしないという選択も、ちゃんとひとつの答えです。

私も同じでした。

そのころの私が先にやってよかったのは、投資の勉強ではなく、家計の現在地と、この先10年の見通しを1枚に書き出すことでした。

それが決まると、積立額は自然に決まります。

だから私は、NISAより先に、自分の暮らしを整えることのほうが大切だと思っています。

まとめ

最後に、ここまでの話を短くまとめておきますね。

  • 口座を開くのは、いつでも始められる準備をするだけ。何を買うかは、あとからゆっくり考えれば大丈夫
  • NISAの中で増えた分には、ふつうならかかる約20%の税金がかからない
  • 年齢の上限はなく、60代でも70代でも開ける。必要になったら、いつでも売って現金にできる
  • ただし元本保証ではない。使う予定のあるお金は入れない、生活費の半年分は現金で残す、まとめて入れない
  • 始める手順は、口座を申し込む → 待つ → 積立を設定する。実作業は1時間かからない

わからなかったのは、あなたのせいではありません。説明の順番が、逆だっただけです。

「まずは準備をするだけ」から始めれば、NISAはそんなに怖いものではありません。やるかやらないかは、そのあとで決めれば大丈夫です。

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